- 大人のいない場所で友達と過ごす時間と、その後の問題行動の関連は、以前から問題行動の多い子で目立ちました。
- ひとりで過ごす時間との関連にも、性別や攻撃的な気質による違いがありました。
- 家の外で過ごすこと、地域の環境、親の把握、長く続く過ごし方が研究で挙げられています。
- 放課後の活動への参加で、欠席や問題行動が明確に改善したという平均の結果は得られていません。
夜の通塾から帰って親の帰宅までひとりで過ごす子|留守番と子どもの行動の研究
夜のバスで塾から帰り、親が仕事を終えて戻るまで家でひとりで過ごすことは、子どもの行動に響くのでしょうか。授業中の居場所ははっきりしていても、その後の時間には大人の目が届きにくくなります。宿題をしていると思っていたら友達と会っていた、ひとりで平気だと思っていたら物音を怖がっていた、という行き違いも気になるところです。仕事の終わる時刻を簡単には変えられない家庭にとって、留守番の有無だけで通い方を判断するのは難しい問題です。
大人のいない時間と問題行動の関連は一様ではなく、家の内外、いっしょにいる相手、以前からの行動、親が過ごし方を知っているかによって異なります。 放課後の研究には、問題行動との関連を報告したものも、大人のいない女子のほうが体をよく動かしていたというものもあります。そこで、時間の長さを調べるだけでなく、その間に起きていることを読む必要があります。共働きか、ひとり親かという家族の形で良しあしを決めず、帰宅後の生活の中身を考えるために研究をたどります。
要点
- 大人のいない場所で友達と過ごす時間と、その後の問題行動の関連は、以前から問題行動の多い子で目立ちました。
- ひとりで過ごす時間との関連にも、性別や攻撃的な気質による違いがありました。
- 家の外で過ごすこと、地域の環境、親の把握、長く続く過ごし方が研究で挙げられています。
- 放課後の活動への参加で、欠席や問題行動が明確に改善したという平均の結果は得られていません。
「大人がいない」の中には異なる過ごし方がある
留守番という言葉からは、鍵を開けて家に入り、そのまま親を待つ姿を思い浮かべがちです。しかし、大人のいない時間を扱う研究には、家の外で友達と過ごす場面も含まれます。家で本を読む子と、親が居場所を知らないまま外で友達と会う子では、同じ長さの不在でも生活の条件が違います。この区別を省くと、研究で扱われた場面よりも広く「留守番はよくない」という意味に読んでしまいます。
Pettit ら(1999)は、12〜13歳の438人について、第6学年の電話での聞き取りから、大人が同席しない場で友達と過ごす時間を調べました。行動については、第6学年と第7学年で教師が評価しています。同じ子どもを時間をおいて追う観察研究であり、研究者が留守番をさせる組とさせない組に分けた実験ではありません。主に比べているのは、放課後の友達との接触や周囲の環境が違う子どもたちです。
Pettit ら(1999)の結果では、大人のいない場での友達との接触、近所の安全の乏しさ、親の見守りの少なさが、その後の問題行動と結びついていました。ただし、友達との接触と問題行動の関連がはっきりしていたのは、以前から問題行動が多かった子どもです。ここでいう問題行動は、教師が評価した外に表れる行動上の問題を指します。帰宅後にすぐ机に向かわないことまで、同じ意味の問題として扱う読み方は適切ではありません。
研究の問いを家庭の言葉に置き換えると、「親がいない」だけでなく、「その時間を誰と過ごしているか」が焦点になります。友達と会うこと自体を悪い行動とみなす理由にはなりません。すでに起きている困りごとと、過ごしている環境との組み合わせに注意を向ける読み方です。
以前からの行動と家庭の事情を切り離さない
留守番が増えた時期に子どもの行動も変わると、親は自分の不在を原因と考えやすくなります。一方で、子どもの友達関係や家庭の生活時間も、同じ時期に変わっているかもしれません。観察研究では、こうした別の条件が結果に混じることを交絡と呼びます。時間の前後関係を調べ、家庭の背景を考慮した研究は参考になりますが、原因を考えるときには生活全体を視野に入れます。
Atherton ら(2016)は、米国に住むメキシコ系の子ども674人を追ったデータで、大人の監督なしに過ごすことと、後の行動の変化を調べました。うそ、盗み、いじめなどの問題行動の増加との関連が見られましたが、それは男子と攻撃的な気質の子に限られていました。攻撃性について母親が報告した場合にも、観察に基づいて評価した場合にも結果は保たれ、ほかの影響しうる条件も分析で考慮されています。男子なら問題が起きるという予言ではなく、集団の中で関連の現れ方が違ったという結果です。
Mahoney ら(2009)は研究の整理から、問題が起きやすい条件として、家の外で過ごすこと、親の把握の少なさや放任的な関わり、犯罪や地域のまとまりに課題がある環境を挙げています。さらに、以前から行動上の問題があることと、長い時間に及ぶ過ごし方が継続することも含まれます。これは、留守番という名前を付けるだけでは捉えきれない条件の重なりです。仕事を持つ親の責任を問う一覧としてではなく、暮らしのどこに支えを足すかを考える整理として読めます。
例えば、親が帰るまで家で落ち着いて過ごす生活と、行き先が毎回変わり、そこでのトラブルも続く生活では、調整する箇所が異なります。後者なら、帰宅を少し早める工夫だけでなく、友達関係や過ごす場所の問題も扱う必要があります。家族の形を変えられなくても、生活の条件のうち動かせる部分を探す余地はあります。
体の活動と宿題は別の結果として読む
大人がそばにいればすべての過ごし方がよくなる、という見方にも注意が要ります。Rushovich ら(2006)が思春期の女子を調べた研究では、放課後に大人の監督なしで過ごす時間が1日2時間以上、週2日以上ある女子は、大人が見守る女子より体をよく動かしていました。中くらいから強い体の活動は、平均で1日7.55分多いという結果です。測っているのは体を動かす量であり、夜の留守番の安全や、ひとりで対処する力の点数ではありません。
同じRushovich ら(2006)の比較では、大人の監督がない女子は宿題をする割合が低く、テレビを見たり電話で話したりする割合は高いという結果もありました。その一方で、踊ったり音楽を聴いたりする割合も高くなっていました。活動的であることと、親が期待する順番で勉強していることは別々の結果です。ひとつのよい指標だけを取り上げても、逆に宿題の指標だけを取り上げても、帰宅後の暮らしの全体像は捉えにくくなります。
研究ごとに、比べているものと結果として見たものをそろえて読むと、通説のどこが大きすぎるかがわかります。次の表は、異なる研究を同じ優劣の順位に並べるためのものではありません。それぞれが答えた問いの違いを示しています。
| 大人の不在への心配 | 行動・活動量の研究結果 | 放課後を調べた対象 |
|---|---|---|
| 親が不在なら問題行動が増える | 以前からの問題行動によって関連が異なる | Pettit ら(1999)、思春期初期の子を追った観察研究 |
| 大人がいないと動かなくなる | 監督のない女子のほうが体の活動は多い | Rushovich ら(2006)、思春期の女子の比較 |
| 放課後の活動に入れば行動は改善する | 欠席と問題行動への平均の効果は小さく、明確な差はない | Kremer ら(2015)、支援を要する若者の研究を統合 |
見守りのある場に移すだけで解決するか
留守番への不安があると、大人のいる活動で親の帰宅まで埋める案が浮かびます。Kremer ら(2015)は、支援を要する若者を対象にした放課後のプログラムについて、24本の研究をまとめました。欠席と、外に表れる問題行動に対する平均の効果は小さく、統計的に有意ではありませんでした。有意でないとは、偶然のばらつきと区別できるほど明確な差が得られなかったという意味です。
このKremer ら(2015)のまとめには、研究どうしの結果に中程度から大きなばらつきもありました。分析した条件では、そのばらつきを説明できず、研究の方法にも大きな弱点が指摘されています。したがって、活動に入るという形式だけを、欠席や問題行動への確実な対策として扱うのは早計です。預かる場所がある価値と、研究が測った行動の改善とは、目的を区別して考えられます。
家庭で代わりの居場所を検討する際には、本人がそこへ移動する負担や、授業後に落ち着いて待てるかという実際の使い方が論点になります。大人がいるという理由だけで予定を加えれば、帰宅までの動きが複雑になる場合もあります。反対に、家での不安が強い子には、誰かと同じ場所で過ごすことがその晩の困りごとへの対応になります。行動を改善するためなのか、不安な時間をひとりにしないためなのかで、求める場の条件は変わります。
家の中で過ごすことを前提にしても、危ない作業をひとりで引き受けさせる必要はありません。食事の用意で火や刃物を扱うことに不安がある子には、大人が先に準備を済ませるなど、けがにつながりうる作業を減らす考え方があります。大人が帰るまで困った状態に耐えることを、成長の証として要求しない姿勢も大切です。これは留守番の効果を高める訓練ではなく、その日の生活を成り立たせるための調整です。
過ごし方を本人の言葉と親の記憶で確かめる
帰宅後の生活を見直すなら、まず本人に、塾から帰ったある日の行動を順に書き出してもらう方法があります。「ちゃんと過ごしたか」という採点ではなく、かばんを置いた後に何をしたか、どこで過ごしたかを本人の言葉で残します。食事、休憩、遊び、宿題の順序がわかれば、親が想像していた予定との違いを見つけられます。書くのが負担なら長い文章にせず、行動の名前を短く置くだけでも足ります。
続いて、親の側では、子どもが家にいたのか、友達の家や外にいたのかを知っていた日と、知らなかった日を思い出します。ここで点検するのは子どもの従順さではなく、親が実際に持っていた情報です。「たぶん家にいた」と「家にいたと知っている」を同じ欄に入れないようにします。Mahoney ら(2009)が挙げる過ごす場所と親の把握という条件を、家庭の生活に引き寄せる作業になります。
さらに、ひとりの時間に物音、来客、空腹などで困ったことがあったかを本人に聞きます。出来事の有無だけでなく、そのとき何をして過ごしたかまで受け止めると、準備を変える対象を絞れます。物音を怖がった話を、気にしすぎだと片づける必要はありません。食べる物の置き場所がわからなかったのであれば、叱るよりも置き場所を揃えるほうが、その困りごとに直接対応します。
行動の問題が続き、家庭だけで扱いきれない場合は、学校の相談窓口などで生活の状況を共有する選択肢があります。その際は「留守番が原因だと思う」という結論より、起きた出来事とその前後を伝えるほうが状況を説明しやすくなります。親が不在だった事実だけで家庭を評価せず、子どもが過ごした場所や起きている問題を扱う相談につなげます。
帰宅後の予定には変更が起きることも含める
帰宅後の過ごし方を整える際には、毎回同じ順序で動くことを求めすぎないほうが扱いやすくなります。授業で疲れて先に休む日もあれば、宿題の量によっていつもの流れが変わる日もあります。予定から外れたことと、危険やトラブルが生じたことを同じ重さで扱うと、調整すべき問題が埋もれます。研究でいう問題行動を、家庭で作った予定表を守らないこと全般へ広げないようにします。
親の勤務が長引くとわかった日には、その晩に子どもへ求めることを減らすという考え方もあります。片づけや翌日の準備などを平常どおりすべて済ませることより、本人が無理なく過ごせる内容を優先します。いつもの家事をこなせなかったことを理由に、留守番そのものを失敗と評価しないためです。親が帰ってから補える作業と、その場で支えが要ることを区別すると、家庭の分担も調整しやすくなります。
本人が過ごし方を選ぶ余地を残すことと、家族が全く知らない場所へ移ることは同じではありません。家の中で休み方を変えるのか、別の場所へ移動するのかで、家庭が扱う条件も変わります。大人の不在を短くする案だけに絞らず、予定の変更がどの場面で起きるのかにも目を向けると、必要な取り決めを小さく保てます。
最後に、親の帰宅前に家の外へ出てよい場合と、そのときに残すものを、本人と一緒に取り決めます。例えば、事前に家族で認めた用事で外へ出る場合は、冷蔵庫の貼り紙に行き先と戻る予定を残すという形です。用事の条件と紙の置き場所をひとまとまりの約束にし、その家庭で実行しやすい形を選びます。空いた家に戻った親が、子どもの移動を推測だけで埋めなくて済むよう、貼り紙に変更後の予定を残します。
よくある質問
きょうだいが一緒なら、大人の見守りと同じですか
きょうだいが在宅していても、上の子が大人の役割をすべて担うという前提にはしないほうがよいでしょう。Pettit ら(1999)が扱ったのは大人の同席のない場面での友達との接触であり、きょうだいへの世話の委任を勧めた研究ではありません。下の子の世話を加えるなら、上の子自身の休憩や勉強にも影響する家庭内の分担として扱い、留守番を任せることとは別に負担を考えます。
宿題が終わっていれば、過ごし方に問題はないのでしょうか
宿題の完了は、その日にやる課題が進んだという情報です。Rushovich ら(2006)は宿題や体の活動などを別々に扱っており、ひとつの行動だけで生活全体を評価していません。家庭でも、丸付けの済んだノートだけを帰宅後の様子の代表にせず、食事や休憩を含む暮らしとして捉えられます。学習の成果と、家で無理なく過ごせたかは、それぞれ大切な関心です。
親の残業が急に入った晩も、普段の留守番と同じですか
Mahoney ら(2009)は、長い時間に及ぶ過ごし方が継続することを、問題に関係する条件のひとつに挙げています。急な残業によるその晩の対応と、毎回続く生活の組み方は、見直す対象が異なります。臨時の晩にうまく過ごせなかったとしても、それを子どもの能力全体の評価にせず、普段と違っていた準備や予定を扱うほうが、変更した条件に即した振り返りになります。
この記事の限界
比較されているのは、放課後の大人の不在や友達との接触、見守りのある活動への参加であり、塾から帰った夜に親を待つ生活そのものを調べた研究は含まれていません。家庭で提案した振り返りや取り決めについても、ここで挙げた研究が問題行動を減らす効果を試したわけではなく、留守番を始める年齢や長さの基準を導くことはできません。
留守番の研究は米国の地域での生活を扱うものが中心で、近所の安全、友達と集まる場所、家と周囲との関係が結果を読むうえで重要です。地域の治安や住まいの違いを含む結果を、日本の住宅地で暮らす子どもにそのまま当てはめることには隔たりがあります。
参考文献
- Pettit GS, et al. The impact of after-school peer contact on early adolescent externalizing problems is moderated by parental monitoring, perceived neighborhood safety, and prior adjustment. Child Dev. 1999;70(3):768-778.
- Atherton OE, et al. Unsupervised self-care predicts conduct problems: The moderating roles of hostile aggression and gender. J Adolesc. 2016;48:1-10.
- Mahoney JL, et al. Should We Care About Adolescents Who Care for Themselves? What We’ve Learned and What We Need to Know About Youth in Self-Care. Child Dev Perspect. 2009;3(3):189-195.
- Rushovich BR, et al. The relationship between unsupervised time after school and physical activity in adolescent girls. Int J Behav Nutr Phys Act. 2006;3:20.
- Kremer KP, et al. Effects of after-school programs with at-risk youth on attendance and externalizing behaviors: a systematic review and meta-analysis. J Youth Adolesc. 2015;44(3):616-636.
改札を出てから扉に着くまでの数分が、続くかどうかを決める。
- 向く人: 授業や練習のあと、駅までの帰り道をできるだけ短くしたい人
- 向く人: 通勤や通学の途中の駅で、乗り換えを増やさずに通いたい人
- 向かない人: 駅から離れた場所へ、車の送り迎えで通うことを前提にしたい人
- 向かない人: 移動をせず、自宅だけで学びや運動を済ませたい人
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きょうだいが一緒なら、大人の見守りと同じですか
きょうだいが在宅していても、上の子が大人の役割をすべて担うという前提にはしないほうがよいでしょう。Pettit ら(1999)が扱ったのは大人の同席のない場面での友達との接触であり、きょうだいへの世話の委任を勧めた研究ではありません。下の子の世話を加えるなら、上の子自身の休憩や勉強にも影響する家庭内の分担として扱い、留守番を任せることとは別に負担を考えます。
宿題が終わっていれば、過ごし方に問題はないのでしょうか
宿題の完了は、その日にやる課題が進んだという情報です。Rushovich ら(2006)は宿題や体の活動などを別々に扱っており、ひとつの行動だけで生活全体を評価していません。家庭でも、丸付けの済んだノートだけを帰宅後の様子の代表にせず、食事や休憩を含む暮らしとして捉えられます。学習の成果と、家で無理なく過ごせたかは、それぞれ大切な関心です。
親の残業が急に入った晩も、普段の留守番と同じですか
Mahoney ら(2009)は、長い時間に及ぶ過ごし方が継続することを、問題に関係する条件のひとつに挙げています。急な残業によるその晩の対応と、毎回続く生活の組み方は、見直す対象が異なります。臨時の晩にうまく過ごせなかったとしても、それを子どもの能力全体の評価にせず、普段と違っていた準備や予定を扱うほうが、変更した条件に即した振り返りになります。