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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年9月11日

仕事帰りのヨガに通う男性はなぜ少ないのか|ヨガをする人の性別と動機の研究

「ヨガをする人の76%は女性だった」。これは Birdee ら(2008)が米国の全国調査を分析して示した結果です。参加者の顔ぶれに偏りがあるという数字は、始めようとする男性のためらいを考える入口になります。ただし、人数の偏りと、体に合うかどうかは別の話です。

  • 米国の全国調査では、ヨガをする人は女性に偏っていました。
  • 豪州の男性への聞き取りでは、他の運動への好みや「女性的」という見方が参加の障壁に挙がりました。
  • 男女の動機には傾向の違いがありましたが、個人の目的を性別で決める材料にはなりません。
  • 始めた理由と続ける理由は変わりうるため、最初の目的に縛られる必要はありません。
  • 期待することを書き、着替えと荷物の扱い、通いたい時間帯の様子を確かめます。

仕事帰りのヨガに通う男性はなぜ少ないのか|ヨガをする人の性別と動機の研究

「ヨガをする人の76%は女性だった」。これは Birdee ら(2008)が米国の全国調査を分析して示した結果です。参加者の顔ぶれに偏りがあるという数字は、始めようとする男性のためらいを考える入口になります。ただし、人数の偏りと、体に合うかどうかは別の話です。

国立駅から立川へ通勤し、仕事帰りに商店街を歩きながら、ヨガに通う予定を考える場面を思い浮かべてみます。興味はあっても、周りが女性ばかりなら居心地はどうか、仕事のかばんと着替えを持って動けるか、と気になることが出てきます。男性が少ないのはなぜで、自分が始めるかどうかは何を基準に決めればよいのでしょうか。

男性の参加が少ない背景には、ほかの運動への好みや性別にまつわる見方があり、自分の目的と通いやすい条件を分けて考えることが判断の助けになります。 調査に現れた男女の違いを読むときは、参加している人と、まだ参加していない人の声を区別する必要があります。商店街を通る帰り道に予定を足すなら、人数への不安だけでなく、始めたい理由と準備の負担も言葉にしてみましょう。

要点

  • 米国の全国調査では、ヨガをする人は女性に偏っていました。
  • 豪州の男性への聞き取りでは、他の運動への好みや「女性的」という見方が参加の障壁に挙がりました。
  • 男女の動機には傾向の違いがありましたが、個人の目的を性別で決める材料にはなりません。
  • 始めた理由と続ける理由は変わりうるため、最初の目的に縛られる必要はありません。
  • 期待することを書き、着替えと荷物の扱い、通いたい時間帯の様子を確かめます。

女性が多いという調査は、向き不向きの判定ではない

「男性が少ないなら、男性には向いていないのでは」と考える前に、何を調べた数字なのかを見ておきます。Birdee ら(2008)が使ったのは、2002年の米国の全国健康面接調査の31,044人分のデータです。横断研究という、ある一時点の状態と関連を見る方法で、健康のためにヨガを使う人の特徴を調べました。ヨガをする人に女性が多く、若い人や大学卒の人も多いという結果でした。

Birdee ら(2008)では、女性であることとヨガの利用との関連を示すオッズ比は3.76、95%信頼区間は3.11〜4.33でした。オッズ比は、ある条件と行動の結びつきの強さを表す指標で、信頼区間は推定の不確かさを幅で示すものです。この数字は参加の偏りを表し、女性のほうが効果を得やすいという倍率ではありません。身体能力を測って男女を比較した試験と読み替えると、調査の問いが変わってしまいます。

Cramer ら(2016)も、2012年の米国の全国調査34,525人分を横断的に分析しています。過去12か月にヨガをした人は8.9%で、その実践者のうち教室に参加した人は51.2%でした。「ヨガをする人」には、教室に通う人以外も含まれることが、この結果からわかります。仕事帰りの教室で目にする顔ぶれは、調査でいう実践者全体とは範囲が違います。

人数の少なさを、自分がそこにいてよいかの基準にする必要はありません。調査を通して見えるのは、ヨガがどのような人に選ばれてきたかという分布です。これから参加する人にとっては、その分布を知ったうえで、自分が何を求めているかを考える順番が役立ちます。

他の運動への好みと、周囲の目を分けて考える

参加をためらう理由がすべて「男性だから」になると、確かめるべきことがぼやけます。Cagas ら(2021)は、豪州クイーンズランド州に住む、ヨガをしていない18〜60歳の男性21人に聞き取りをしました。語られた内容を共通するテーマに分け、他の身体活動を好むことと、性別に関係する見方や圧力を大きな障壁として挙げています。後者には、ヨガを女性的だと見ることや、社会の男らしさの理想が含まれていました。

ほかの運動を選びたいという気持ちは、それ自体が尊重される選択です。勝敗や記録を追う活動が好きなら、競争を中心にしないヨガに関心を持ちにくいこともあるでしょう。Cagas ら(2021)も、競争的でない性質と女性の参加が多いことを、調査した男性にとっての魅力を考える際の要因として論じています。他方で、興味はあるのに周囲の見方が気になる場合には、運動の好みとは違う確かめ方が必要です。

たとえば、練習内容を想像したときに魅力を感じないのか、参加している自分を人に見られるのが気になるのかを分けてみます。前者なら別の運動と比較することが役立ち、後者なら教室の雰囲気や説明の仕方を知るほうが問いに合います。体を動かす目的のために、周囲の期待する男性像まで引き受ける必要はありません。逆に、性別の固定観念を乗り越えるためだけに、興味の薄い活動を選ぶ必要もありません。

Cagas ら(2024)の論文題名は、男性に手本となる人が必要だという視点を掲げています。自分に近い人が参加する様子を知ることは、検討するときの具体的な手掛かりになります。手本を探すなら、難しい姿勢の完成形よりも、初心者が説明を聞き、途中で休む様子に目を向けるという見方もあります。誰かの達成を再現することと、参加の様子を知ることは分けておきましょう。

関心の薄さと時間の不足では、必要な対応が違う

「仕事で忙しいから男性は少ない」という説明だけでは、本人の関心が抜け落ちます。Garnsey ら(2025)は、米国北東部の大学生351人を対象に、2022年4月にオンライン調査を行いました。ヨガをしていない男性では、主な障壁は関心がないこと47%、ほかの運動を好むこと22%、時間がないこと20%でした。時間のやりくりだけを変えても、関心や好みの問題は別に残ります。

同じ Garnsey ら(2025)の調査で、実践していない女性では時間がないこと47%、関心がないこと20%、ほかの運動を好むこと11%でした。著者らは、男女が挙げる障壁や動機は似ている一方、どの要因が目立つかに違いがあると結論づけています。男性にも時間の問題があり、女性にも関心の問題があるという読み方が大切です。性別の分類より、実際に挙がった理由に合わせて考えるほうが、次の行動を具体化できます。

男性の参加をめぐる見方 性別や動機についての知見 調査した人と方法
男性は人目が気になるから参加しない 他の運動への好みも障壁に挙がった Cagas ら(2021)、豪州の未実践男性への聞き取り
仕事の時間が問題なのだろう 未実践男性では関心の薄さが主な障壁だった Garnsey ら(2025)、米国北東部の大学生へのオンライン調査
男女は別々の理由で運動を選ぶ 障壁や動機は似ており、目立つ要因に違いがあった Garnsey ら(2025)、男女を比較した調査

自分のためらいを整理するときは、「何をするのかよく知らない」と「内容を知っているが好みではない」も区別します。前者なら練習の説明を読むことが次の手順になり、後者なら無理に関心を作らず、今好きな活動との組み合わせを考えられます。時間が問題なら、仕事を終える時刻だけでなく、着替えや帰宅後の用事まで予定に含めます。理由を具体的な言葉にすると、運動への意欲と準備の負担を混同せずに済みます。

男女の平均的な動機より、自分の期待を先に書く

参加していない人の障壁と、すでに続けている人の動機は、別々に読むと整理しやすくなります。Cagas ら(2022)は、18〜73歳のヨガ実践者546人にオンライン調査を行い、その内訳は男性138人、女性399人、その他9人でした。女性は気分の良さ、健康や体力、身軽さ、心身の一体感、ストレスへの対処などの動機が強い傾向でした。男性はほかの活動を補うことや、競争・社会的評価に関係する動機が強い傾向でした。

この比較を使って「男性には補助運動として説明すればよい」と個人に当てはめると、本人の希望を聞く機会が失われます。女性がほかの運動の補いを求めても、男性が気分の切り替えを求めても、それぞれの目的として扱えます。調査で比べているのは動機の傾向であり、目的に沿ってどれだけ体が変わったかではありません。始めたい理由と、実際に得られる変化を区別して読むことが必要です。

通う前には、自分が期待することを短い言葉で書き出してみます。「体の動かしやすさに目を向けたい」「仕事から気持ちを切り替えたい」「好きな運動の補いにしたい」など、いま最も気になるものを選びます。その言葉を教室の説明と見比べ、姿勢を学ぶ内容なのか、静かに過ごす内容も含むのかを確かめます。目的を先に持つと、男性向けという表示だけで内容を判断する必要がなくなります。

Cramer ら(2016)の調査でも、健康維持や病気の予防、活力の向上など、実践する理由は幅広く挙がっています。ここで「健康のために行っている」という回答は、回答者の目的を示しています。健康上の悩みを持つ場合には、その目的を医療上の効果の保証と取り違えず、運動について相談するときの説明に使います。自分の期待を言葉にする作業は、指導者や医療者に何を伝えたいかを整える機会にもなります。

始めた理由が変わっても、続け方を選び直せる

最初に書いた目的は、変えてはいけない約束ではありません。Park ら(2016)は、ヨガを学ぶ人360人と教える人156人の全国調査で、始める動機と続ける動機を調べました。主な理由を変えた、または別の理由を見いだしたと答えたのは、学ぶ人では62%を超え、教える人では85%でした。始めたときと続けているときで、活動の意味が変わる人がいたという結果です。

Park ら(2016)は、多くの人が運動やストレスの軽減を求めて始め、その後は精神性が主な理由になる人も多いと述べています。精神性とは、ここでは内面の意味や価値に関わる動機を指します。この結果を、続けるほど同じ価値観に行き着くという道筋として受け取る必要はありません。姿勢を学ぶことが好きな人も、静かな時間を持ちたい人も、自分に合う内容を選ぶ立場にあります。

目的が変わったと感じたら、始めたときの言葉と、いま楽しみにしている内容を並べてみます。ほかの運動の補助として考えていたのに、説明を聞きながら丁寧に動くこと自体が面白くなる場合もあるでしょう。反対に、期待した内容と違い、別の活動に時間を使いたくなることもあるでしょう。続けた期間を理由に選択を固定するより、現在の関心に合うかを確かめるほうが納得して決められます。

周りからの評価を動機にしているときにも、その評価だけで続け方を決めないようにします。難しい姿勢を見せられることより、説明を理解し、無理な動きを避けられることを自分の基準に置けます。男性として上手に見られたいという気持ちがあっても、それを練習の負担に変える必要はありません。目的の見直しには、増やすだけでなく、休む、内容を変える、別の活動を選ぶことも含められます。

通勤の予定には、着替えと荷物の置き場所まで入れる

仕事帰りに通う段階では、関心とは別に準備を具体化します。自宅から仕事場へ持って出る物、仕事場から練習に持って行く物、帰宅時に持ち帰る物を順に思い浮かべます。着替える場所や仕事のかばんを置く場所を案内で確かめ、予定している動き方に合うかを見ます。荷物を持ったまま行動が止まる場面を先に見つけると、気が重い理由を気持ちの問題だけにせず扱えます。

男性がいるか気になるなら、自分が通いたい時間帯について、案内や見学の範囲で様子を確かめます。Cagas ら(2021)は、男性に受け入れられやすい伝え方、短い説明の機会、男性だけのクラスを、参加を促す可能性のある要素として挙げています。男性だけの場を好むか、混合の場でも気にならないかは、自分の希望として選べます。写真の印象だけで判断せず、初心者への説明や途中で休む際の扱いも見ておきましょう。

体が硬いことへの不安は、周囲と同じ形になるまで頑張る理由にしないことが大切です。届かない姿勢を無理に深めず、動きを小さくする方法を指導者に相談します。痛みやけががある人は、男性が少ないことへの心配よりも先に、参加する内容を医療機関に相談するという順番を取れます。性別を理由に痛みを我慢したり、ほかの人の動きに合わせて負荷を上げたりする選び方は避けます。

次に案内を読むときには、仕事用のかばんを置く場所に注目してみます。貴重品を手元に持つのか、着替えと一緒に置くのかまで把握すると、出勤前に荷物をまとめる手順が決まります。かばんの扱いが決まったら、使った服を仕事の書類と分けて持ち帰る袋も用意します。

よくある質問

男性だけの教室を選んだほうがよいですか

男性だけという条件が落ち着いて参加する助けになるなら、選ぶ理由になります。Cagas ら(2021)でも男性だけのクラスは参加を促す可能性のある要素に挙がっていますが、聞き取りで得られた提案であり、効果の優劣を比べた試験結果ではありません。性別の構成に加え、初心者への説明、休みやすさ、仕事の後に着替えを済ませられる場所など、自分が気になる条件を並べて選びます。

体が硬いと、周りの男性にもついていけませんか

周りの男性と同じ形を取れるかを、参加を決める試験にする必要はありません。体の動かしやすさを目的にする場合も、どこまで動かすかを相談しながら進め、痛みを我慢して形をそろえないようにします。練習内容の説明を読むときは、難しい姿勢の写真より、動きを小さくする選択が示されているかに注目し、痛みやけががある場合の参加については医療機関に相談します。

ほかの運動が好きなら、ヨガを足す必要はありますか

好きな運動があることを、ヨガを始めるための不足として扱う必要はありません。Cagas ら(2022)の調査では男性の実践者に補助的な活動としての動機が見られましたが、これは本人が選んだ目的についての結果です。今の運動に何を足したいのかを書き、その内容と教室の説明が合うかを見比べて、仕事や帰宅後の予定も含めて選ぶと、周りの勧めだけに左右されずに済みます。

この記事の限界

適用範囲は、米国の全国調査や大学生の調査、豪州の未実践男性への聞き取りなどで、日本の男性通勤者が仕事帰りに教室を選ぶ過程を直接調べた研究は見つからなかったため、国立から立川へ通う人の参加割合や障壁の順位にそのまま当てはめることはできません。全国調査の利用状況と、参加していない人の語り、すでに実践する人の動機は、答えている問いがそれぞれ異なります。

また、ここで扱った参加理由の比較から、男女別の身体的効果やけがの起こりやすさを判断することはできません。着替えや荷物の確認は通勤生活で検討するための手順であり、その準備によって参加や継続がどれほど増えるかを測った結果ではありません。

参考文献

  1. Birdee GS, et al. Characteristics of yoga users: results of a national survey. J Gen Intern Med. 2008;23(10):1653-1658.
  2. Cramer H, et al. Prevalence, Patterns, and Predictors of Yoga Use: Results of a U.S. Nationally Representative Survey. Am J Prev Med. 2016;50(2):230-235.
  3. Cagas JY, et al. Yoga not a (physical) culture for men? Understanding the barriers for yoga participation among men. Complement Ther Clin Pract. 2021;42:101262.
  4. Cagas JY, et al. “Men Need Role Models”: Exploring the Facilitators and Barriers for Yoga Participation Among Men. Am J Mens Health. 2024;18(6):15579883241298663.
  5. Cagas JY, et al. For Exercise, Relaxation, or Spirituality: Exploring Participation Motives and Conformity to Masculine Norms among Male and Female Yoga Participants. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(2):770.
  6. Garnsey CL, et al. Barriers and motivators to yoga practice: A comparison of men and women across levels of engagement. J Bodyw Mov Ther. 2025;42:925-931.
  7. Park CL, et al. Why practice yoga? Practitioners’ motivations for adopting and maintaining yoga practice. J Health Psychol. 2016;21(6):887-896.

改札を出てから扉に着くまでの数分が、続くかどうかを決める。

  • 向く人: 授業や練習のあと、駅までの帰り道をできるだけ短くしたい人
  • 向く人: 通勤や通学の途中の駅で、乗り換えを増やさずに通いたい人
  • 向かない人: 駅から離れた場所へ、車の送り迎えで通うことを前提にしたい人
  • 向かない人: 移動をせず、自宅だけで学びや運動を済ませたい人

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男性だけの教室を選んだほうがよいですか

男性だけという条件が落ち着いて参加する助けになるなら、選ぶ理由になります。Cagas ら(2021)でも男性だけのクラスは参加を促す可能性のある要素に挙がっていますが、聞き取りで得られた提案であり、効果の優劣を比べた試験結果ではありません。性別の構成に加え、初心者への説明、休みやすさ、仕事の後に着替えを済ませられる場所など、自分が気になる条件を並べて選びます。

体が硬いと、周りの男性にもついていけませんか

周りの男性と同じ形を取れるかを、参加を決める試験にする必要はありません。体の動かしやすさを目的にする場合も、どこまで動かすかを相談しながら進め、痛みを我慢して形をそろえないようにします。練習内容の説明を読むときは、難しい姿勢の写真より、動きを小さくする選択が示されているかに注目し、痛みやけががある場合の参加については医療機関に相談します。

ほかの運動が好きなら、ヨガを足す必要はありますか

好きな運動があることを、ヨガを始めるための不足として扱う必要はありません。Cagas ら(2022)の調査では男性の実践者に補助的な活動としての動機が見られましたが、これは本人が選んだ目的についての結果です。今の運動に何を足したいのかを書き、その内容と教室の説明が合うかを見比べて、仕事や帰宅後の予定も含めて選ぶと、周りの勧めだけに左右されずに済みます。