- 遅刻の多い小学生と、遅刻の多い同級生がいる小学生では、テストの点が低い関連が報告されています。
- 授業単位の欠席を加えると、終日の出欠記録では捉えきれない欠席が表れます。
- 授業の欠席と成績の関係を示す数値は、短い遅刻による減点の予測には使えません。
- 欠席の理由や学年内の時期によって、成績との関連の表れ方は異なります。
乗換の電車が遅れて授業に遅刻する子|遅刻と成績の研究
9%から24%へという差は、Whitney ら(2017)が中高生の出欠を授業単位まで数えたときに示した、慢性的な欠席に当たる生徒の割合の変化です。途中から学校へ来た日や、途中で授業を抜けた日も数えると、終日の欠席だけでは見えなかった学習機会の欠けが表れます。乗換通路の案内表示が遅延を知らせ、授業の開始時刻が迫っているとき、保護者にも気になる数字でしょう。電車の遅れで授業の最初を逃すのは、成績に響くほどのことなのでしょうか。

通路の分岐で立ち止まった子のかばんには教材があり、教室へ行くつもりでも、運行の再開を待っている間に開始時刻が過ぎることがあります。そこで保護者が知りたいのは、遅刻という印が付くかに加えて、聞き逃した説明や取り組めなかった問題が残るかということです。到着した時点で授業に加われても、冒頭に配られた課題や、その日の進め方を知らないまま座ることは想定できます。遅刻や欠席の積み重なりは成績の低さと結びついていますが、電車の遅れで逃した授業については、欠けた内容を確かめて補う対応が出発点になります。
要点
- 遅刻の多い小学生と、遅刻の多い同級生がいる小学生では、テストの点が低い関連が報告されています。
- 授業単位の欠席を加えると、終日の出欠記録では捉えきれない欠席が表れます。
- 授業の欠席と成績の関係を示す数値は、短い遅刻による減点の予測には使えません。
- 欠席の理由や学年内の時期によって、成績との関連の表れ方は異なります。
遅刻の多い子の点は低いが、原因をひとつに絞れない
「遅刻をすると勉強についていけなくなる」という言葉には、授業を聞く機会が減るという心配が含まれています。遅刻自体を扱ったGottfried(2014)は、米国の都市部の小学生について、6年間にわたる記録を分析した観察研究です。遅刻の多い子は、共通の方法で実施する読みと算数のテストで成績が低く、同級生の遅刻が多い子にも点の低さが見られました。自分の到着だけでなく、同じ教室の出席状況も分析したところに、この研究の特徴があります。
Gottfried(2014)の比較は、子どもを遅刻する群と時間どおりに来る群へ割り振った試験ではありません。遅刻が多い背景にある生活上の事情や学習上の困難も、点の違いに関わる可能性があります。このように、調べたい事柄のほかの条件が結果に関わることを交絡と呼び、観察された関連だけから遅刻が点を下げたと断定することはできません。東京の乗換駅で起きた電車の遅延と通塾を直接追った研究は、ここで扱う論文には含まれません。
教室に遅れて入る場面を考えると、本人が席に着くまでに、教材を出す、開くページを知る、現在の問題を探すという作業があります。先生が説明している途中なら、どのタイミングで声をかけるかも教室の運用に関わります。途中参加に伴う動作を挙げると、担当者と相談したい場面を具体的に伝えられます。教室と相談するときは、入口で待つのか、そのまま自分の席へ入るのかなど、実際の途中参加の手順を確認する提案になります。
その相談で、遅れた子に周囲の点数まで背負わせる言い方は避けたいところです。電車が動かない状況で「みんなにも迷惑がかかる」と急がせると、乗換通路や階段を走る対応につながりかねません。歩行中に教材や連絡画面を見続けるよう求めず、足を止められる場所で次の行動を確かめる扱いにします。学習上の不利益への対応に、移動中の転倒や衝突を招く行動を組み込まないことが大切です。
終日出席の印があっても、逃した授業は残る
「その日は登校したから欠席ではない」と数えると、途中の授業に参加できなかったことが記録から抜け落ちます。Whitney ら(2017)は、都市部の学区の中高生50,000人超を対象に、2007〜2008年度から2012〜2013年度までの出欠を記述的に分析しました。学校生活に条件を加える試験ではなく、出欠の記録がどのように分布しているかを調べた研究です。結果では、部分的な日の欠席によって失われた授業は、終日の欠席で失われた授業と同程度に達していました。
Whitney ら(2017)では、無届けに当たる割合は終日の欠席で55%、部分的な日の欠席で92%でした。この内訳は、部分的な欠席の数字を、交通事情によって予定外に遅れた子の数字として扱わないために欠かせません。また、授業ごとの欠席には時間帯による大きな違いがあり、教科による違いはそれほど大きくありませんでした。出席した日数に加え、どの授業にいなかったかを捉えると、学校への参加の姿が変わることを示しています。
家庭でこの観点を使うなら、遅れた日の教材に何が残っているかを見ます。たとえば、その日のプリントは持ち帰っていても、冒頭の例題の解き方が空白なら、その箇所を担当者に尋ねる対象にできます。途中参加のために配布物を受け取っていない場合は、まず教材をそろえるところから始めます。いずれも「出席した」という報告のあとに、実際に取り組めた範囲を確かめるための具体的な材料です。
次の表は、それぞれの研究が出欠をどの単位で見ているかを並べたものです。遅刻の頻度、授業の欠席、欠席した理由では、集めている記録が異なります。家庭の教材と照らす際にも、まず何を数えた結果なのかを表の右端で確かめます。
| 遅刻・欠席への見方 | 出欠記録と成績の関係 | 調べた学校段階と方法 |
|---|---|---|
| 遅刻は本人だけの問題 | 同級生の遅刻の多さにも点の低さが関連した | Gottfried(2014)、都市部の小学生の追跡記録の分析 |
| 登校した日は授業を逃していない | 部分的な欠席でも多くの授業が失われていた | Whitney ら(2017)、中高生の出欠記録の記述的分析 |
| 欠席理由は成績に関係しない | 分析方法によって家族旅行の関連は残らなかった | Klein ら(2022)、スコットランドの追跡資料の分析 |
授業の欠席の数値は、遅れた時間の換算表ではない
Liu ら(2021)は、中学・高校の欠席について、欠席した日付と授業時間の記録を用いて分析しています。10回の授業を欠席すると、数学または英語の言語科目のテスト成績は標準偏差の3〜4%、教科の成績は標準偏差の17〜18%低下するという推定結果でした。標準偏差は点数の散らばりの大きさを表し、それを基準にすると異なる成績指標の変化を表せます。この数字は、テストの満点に対する得点率や、通知表の評定をそのまま引き下げる幅を示したものではありません。
Liu ら(2021)の結果で注目したいのは、共通のテストと教科の成績に同じ幅の変化が出たわけではない点です。教科の成績の変化のほうが、標準偏差を基準にした値では大きく報告されています。ただし、その差が宿題、授業中の活動、評価方法のどれで生じたかという内訳は、ここで用いる結果には示されていません。家庭では、返されたテストと授業で扱った課題を手元にそろえ、困っているのが内容の理解なのか、未完了の課題なのかを担当者へ伝えられます。
ここでの授業欠席の結果を、教室へ入るのが少し遅れた回に割り算して配ることはできません。Liu ら(2021)が用いたのは中高生の授業単位の欠席で、遅刻の長さごとの成績低下を示す換算式ではないためです。対象の国や人数、年齢の詳細は、ここで参照している対象の記載には示されていません。読者の子どもの点を予測する用途ではなく、授業を逃した状態が重なることを見過ごさない根拠として扱います。
家で教材を開く際には、ノートを写し終えたかに加え、途中式や例文を自分で説明できるかを確認する方法があります。答えが書いてあるページでも、先生が口頭で伝えた条件を聞いていなければ、本人から質問が出るかもしれません。教材のどの問題で手が止まったかがわかれば、次の授業で尋ねる箇所を絞れます。見直しを一律に大量追加して休息の時間を削る対応は、負担が大きい子には向かず、まず欠けた箇所に作業を限定する提案になります。
欠席の理由と学年内の時期で、関連の出方が変わる
「欠席はどんな理由でも同じ影響」とひとまとめにする見方には、研究上の例外があります。Klein ら(2022)は、スコットランドの追跡調査の4,419人の資料を用い、無断欠席、病欠、特別な家庭事情、家族旅行を扱いました。これらの欠席はいずれも成績と負の関連がありましたが、同じ人の変化に注目する差分の分析では家族旅行の関連は残りませんでした。欠席の種類をまとめた結果と、本人の変化を捉えた結果が一致しない例です。
家庭で欠席理由を伝えるときには、学校での分類と実際の困り事を並べて話すことができます。病欠なら持ち帰れていない教材、家庭事情なら提出の難しい課題というように、連絡の内容を実際の支障に沿わせます。たとえば、学校へ提出する出欠の理由と、欠けた授業で配られた課題は、連絡の際にそれぞれ伝える情報になります。理由を説明して了承を得た日にも、教材の受け取りや提出物の扱いを確認できます。
Keppens(2023)は、中等教育に在籍する62,841人について、日時が付いた学校の出欠記録を分析しました。無届けの欠席は、学年の初めと終わりに成績への不利益が大きいという結果でした。これは学年内の時期を扱った結果で、夕方の授業と昼の授業を比較した数字ではありません。いつ休んだかという情報が、欠席の総量とともに学習状況を捉える材料になることを示します。
学年が始まる頃の教材を開くなら、新しく扱い始めた単元の説明がどこにあるかを見つけます。学年の終わり頃なら、まとめの課題、提出の締め切り、次回までに済ませる範囲が教材と連絡文のどこにあるかを探せます。たとえば提出物がかばんの底に残っていたら、完成しているかを開いて確かめ、その日の連絡と照らし合わせます。病気や家庭事情で休んでいる子には、課題をすべてすぐ終えるよう迫らず、担当者と提出順序を相談する余地を残します。
個別指導の学習塾で遅れた分をどう埋めるか
授業のある日の開始前に、担当者へ冒頭の10分で何をするかを尋ねます。前回の復習、宿題の答え合わせ、新しい例題の説明など、教室から返ってきた内容に応じて、遅れたときに受け取りたい教材を確認します。この時間は家庭が授業の構成を尋ねるための目安で、研究によって示された安全な遅刻の長さではありません。予定どおり到着できない日に、どの説明を聞けなかったか話せるようにするための質問です。
遅れて参加した回については、次の回の前に、その日の教材を見直す時間を取ります。担当者に教えてもらった範囲を開き、解説を読んでから例題を解き直し、途中で止まる箇所には付箋を挟みます。授業に入る前に付箋のあるページを担当者に見せれば、補いたい内容を短く伝えられます。その場で全部を説明し直してもらう時間が取れなければ、どの解説を先に読めばよいかを尋ねることもできます。
連絡については、家でスマホを開き、本人から教室へ送るか、保護者を経由するかを相談します。本人が端末を持たない場合や、外での連絡が負担になる場合は、保護者からの連絡経路を使えるようにします。教室側が授業中に返信できない場合の扱いも聞いておけば、返信を待つためにその場に居続ける事態を避けられます。遅延の案内や運行状況は各社の最新の案内で確かめ、到着の見込みが立たないときは、その状態を伝える文にします。
本人が送る文の例は「乗換駅で電車が遅れており、授業開始に間に合いません。到着の見込みがわかったら連絡します」という内容です。氏名をどのように入れるか、連絡先をどれにするかは、教室で使う方法に合わせます。文を長く整えようとせず、遅れていることと現在の状況が届く形にしておけば、送る際には必要な箇所を直せます。乗換駅で遅れに気づいた時点で本人が教室へ送る1行の連絡文を、スマホの定型文に登録します。
よくある質問
数分の遅れでも成績に影響しますか
数分の遅れによる成績の変化は、ここで扱った結果からは判定できません。Gottfried(2014)は遅刻の多さと点の低さを示しましたが、遅れた長さごとの結果は示していません。冒頭に課題の説明がある日と、すでに取り組んでいる演習を続ける日でも、本人が逃した内容は異なるため、その回の教材をもとに補う箇所を担当者へ確認するのが実際の対応になります。
遅れて入る子の周りにも影響がありますか
同級生の遅刻の多さと、本人のテストの点の低さとの関連は報告されています。Gottfried(2014)の結果は、教室全体の参加状況に目を向ける理由になります。ただ、入口で待つ、席へ静かに入る、先生へあとで質問するといった方法を比較した結果は含まれておらず、教室が授業を続けながら迎えられる入室方法を相談する際の手掛かりとして使います。
遅れそうな日は休ませたほうがよいですか
遅れることを理由に、その日の授業を丸ごと休むよう勧める根拠はありません。Liu ら(2021)では授業の欠席が成績の低下と結びついており、欠席へ切り替えれば学習上有利になるという比較は行われていません。移動を続けられる状況であれば途中から参加できるかを教室に確かめ、運行が止まっている場合には、教材の受け取りやその日の課題について連絡する対応になります。
この記事の限界
測定されているのは遅刻の頻度、授業単位の欠席、学校の成績などであり、冒頭の説明のどの言葉を聞き逃したか、届いた教材をどこまで理解したかまでは結果に含まれていません。出欠記録の無届けという分類も、家庭から教室へ送る連絡文の有無や書き方を評価したものとしては扱えません。授業の組み立てや補習の受け方も家庭ごとの対応を考える条件となり、短い遅刻から戻った子の理解を知るには、その回の問題や説明を確かめる作業が残ります。遅刻の分数による差を測った資料を含まない本稿では、欠けた授業の積み重なりと成績との関係が、結論を述べられる範囲を定めています。
参考文献
- Gottfried MA. The achievement effects of tardy classmates: evidence in urban elementary schools. School Effectiveness and School Improvement. 2014;25(1):3-28.
- Whitney CR, Liu J. What We’re Missing: A Descriptive Analysis of Part-Day Absenteeism in Secondary School. AERA Open. 2017.
- Liu J, et al. The short- and long-run impacts of secondary school absences. Journal of Public Economics. 2021;199:104441.
- Klein M, et al. School Absenteeism and Academic Achievement: Does the Reason for Absence Matter? AERA Open. 2022;8:23328584211071115.
- Keppens G. School absenteeism and academic achievement: Does the timing of the absence matter? Learning and Instruction. 2023;86:101769.
改札を出てから扉に着くまでの数分が、続くかどうかを決める。
- 向く人: 授業や練習のあと、駅までの帰り道をできるだけ短くしたい人
- 向く人: 通勤や通学の途中の駅で、乗り換えを増やさずに通いたい人
- 向かない人: 駅から離れた場所へ、車の送り迎えで通うことを前提にしたい人
- 向かない人: 移動をせず、自宅だけで学びや運動を済ませたい人
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数分の遅れでも成績に影響しますか
数分の遅れによる成績の変化は、ここで扱った結果からは判定できません。Gottfried(2014)は遅刻の多さと点の低さを示しましたが、遅れた長さごとの結果は示していません。冒頭に課題の説明がある日と、すでに取り組んでいる演習を続ける日でも、本人が逃した内容は異なるため、その回の教材をもとに補う箇所を担当者へ確認するのが実際の対応になります。
遅れて入る子の周りにも影響がありますか
同級生の遅刻の多さと、本人のテストの点の低さとの関連は報告されています。Gottfried(2014)の結果は、教室全体の参加状況に目を向ける理由になります。ただ、入口で待つ、席へ静かに入る、先生へあとで質問するといった方法を比較した結果は含まれておらず、教室が授業を続けながら迎えられる入室方法を相談する際の手掛かりとして使います。
遅れそうな日は休ませたほうがよいですか
遅れることを理由に、その日の授業を丸ごと休むよう勧める根拠はありません。Liu ら(2021)では授業の欠席が成績の低下と結びついており、欠席へ切り替えれば学習上有利になるという比較は行われていません。移動を続けられる状況であれば途中から参加できるかを教室に確かめ、運行が止まっている場合には、教材の受け取りやその日の課題について連絡する対応になります。